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 風呂やキッチンなどを共用し、旅人たちが一期一会の交流を楽しむ素泊まりの宿「ゲストハウス」。全国100軒を渡り歩いた和歌山市のフリーライター、前田有佳利さん(29)が運営する紹介サイト「フットプリンツ」が注目を集めている。前田さんは「空間作りやきれいさはもちろん、宿を営む人のあたたかさが感じられる場所を集めています」と瞳を輝かせる。

 遊休不動産の活用や外国人観光客の増加から、ゲストハウスはここ数年で2倍以上に増え、全国に約550軒あると言われる。いずれも低価格で利用でき、宿泊施設を超えた街の交流拠点となる所もある。

 前田さんは同志社大学卒業後、大手広告代理店に就職した。大阪と東京で仕事に追われる日々の中、2010年末に東京都台東区のゲストハウスに泊まったのをきっかけに紹介サイトを始めた。「初めて訪れた時、普通のホテルにはない感覚を覚えた。多い時は福岡、山口、広島、香川…と西日本のゲストハウスを1ヵ月で20軒巡ったこともありました」と笑う。

 フットプリンツでは旅先で出会った人からの情報をもとに、実際に宿泊した80軒を掲載。料金や設備などのデータをはじめ、宿をオープンするまでのドラマや空間へのこだわり、運営者の思いを丹念に取材している。生の言葉と豊富な写真が好評で、閲覧回数は月間3万に上る。

 現在はテレビや雑誌、イベントで魅力を伝え、和歌山では、和歌山市と海南市でまもなく立ち上がるゲストハウス2軒にアドバイスする。「家と職場の往復を繰り返し、たまには身の回りの環境を変えてみたい、という人は一度訪れてほしい。今後はゲストハウスに限らず、和歌山の魅力的な〝ひと・もの・こと〟、その背景にある物語を、文字や写真で届けるような仕事をもっとしていきたい」。追い求め、伝えたいものにぶれはない。

 フットプリンツHP(http://www.footprints-note.com)。

写真=約80軒のゲストハウスを取材した前田さん

(ニュース和歌山2015年10月17日号掲載)