れ:歴史ある
 い:いい森 生かす
 わ:和歌山に

 新しい時代を迎え、下手なあいうえお作文を作ってみました。

 太古の歴史を振り返ると、和歌山は木の国と呼ばれる豊かないい森に恵まれていました。いい森は災害を防ぎ、水を育み、木材や食べ物などを与えてくれるとともに、その景観は私たちの心を穏やかにしてくれます。

 ところが、明治初期、日本は先進国と言われたドイツの林業を学ぶのですが、当時のドイツでは天然林を伐採して人工林に切り替えることが林業であるという考えで、大規模な伐採と植林を繰り返しており、それを学んだ日本は、ひたすら天然林を伐採し、スギやヒノキを植え続けることになるのです。できあがったのは人工林率60%を超える今の和歌山の森です。

 その後、ドイツは大規模な伐採と植林により、畑のような森をつくることの愚かさに気づき、天然林の良さも生かしたすばらしい森林国をつくり上げています。

 20年近く前、ドイツ人の林業関係者の話を聞いたことがあるのですが、「日本の森を見て驚いた。ドイツが失敗だと改めた林業を日本はいまだにやっているのだから」とおっしゃっていました。そして、ドイツが変われたのだから日本も変われないはずがないと、その話を締められたのです。

 歴史ある和歌山の森はほんの100年ほど前から今のような森に変えられてきました。でも、護摩壇山や大塔山のような豊かな天然林もあちこちに残っています。人工林に変えられた森のたった半分をこのような天然林に戻すだけで、和歌山のいい森は回復し、安全と景観も格段に向上するはずです。

 豊かな森という和歌山の長所を効果的に生かすことで、より魅力ある和歌山をつくっていきましょう。

(ニュース和歌山/2019年5月11日更新)